企業が人材を採用するための手段は色々ありますが、最近では「採用ピッチ資料」という手法が注目されてきています。
自社の採用に関する情報をWEBサイトなどでオープンにすることで、人材や資金リソースの限られたベンチャー企業でも大きな採用効果を出すことができる強力なツールですが、その内容や作成方法はまだ一般的ではない部分も多いでしょう。
ということで、この記事では
- そもそも「採用ピッチ資料」とは何か
- 仕様ピッチ資料に必要な情報とは
- ベンチャー企業の採用ピッチに必要なこと
- イケてるスタートアップによる採用ピッチのケーススタディ
を中心に、ベンチャー企業が採用ピッチ資料を作るために必要な情報をまとめていきたいと思います。
目次
そもそも「採用ピッチ資料」とは
採用ピッチ資料とは、その名の通り「企業(またはその他の組織)が採用候補の求職者に対して自社のことを説明・アピールするための資料」のことです。
採用活動におけるプレゼン資料は、今までも大手企業から中小零細企業まで、企業説明会などで幅広く活用されてきましたが、あまり一般に公開されることはありませんでした。
ですが最近では急成長中のベンチャー企業を中心に、WEBサイトなどでパブリックにオープンになる機会が増えてきています。
採用ピッチ資料の役割
採用ピッチ資料の主な役割は、上でも述べた通り採用候補者に対して自社のことをしっかり説明するための道具です。
もう少し深く説明すると、採用ピッチ資料を作るメリットとしては主に下記が挙げられます。
- 説明する人が違っても、説明する内容がある程度統一できる
- 企業理念や事業内容を体系立てて、且つ視覚的に表現できる
- 福利厚生などの細かい条件を詳細に記載できる
採用サイトを作ったり、WANTEDLYなどのリクルーティングサービスを使うことで会社の特徴や社員の顔はかなり自由に発信できるようになりましたが、
- ストーリー仕立てで
- 伝えたい情報を1つの資料に網羅して
伝えられるのが、採用ピッチ資料の大きなメリットと言えるでしょう。
採用ピッチ資料に必要なコンテンツ
ここまでの話を加味した上で、採用ピッチ資料には以下のようなコンテンツが必要と言えます。
基本情報
- 会社概要
- 沿革
- 企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)
- 経営陣の紹介
- 事業内容
- 業績
- 市場環境
- 今後の事業計画
- 組織図
求人情報
- 募集しているポジション
- 仕事内容
- 職場のカルチャー
- 現在働いているメンバー
- 採用したい人物像
- 勤務条件(時間、報酬、勤務地、など)
- 福利厚生
- 評価制度
- 選考フロー
これ以外にも、自分の会社が特に伝えたいこと・強調したいことに応じて、コンテンツは足したり引いたりして作成すると良いでしょう。
スタートアップの採用ピッチに必要なこと
採用ピッチに必要なコンテンツはある程度型がありますが、規模で大企業に劣るスタートアップは、優秀な人材を採用するために工夫が必要になります。
大企業にはない、ベンチャー企業の魅力
ベンチャー企業には創業者の強力なビジョンや、社会にイノベーションを起こすという目的、そのために集まった優秀な経営陣といった武器があります。
転職先・就職先として安定したイメージのある大企業ではなくベンチャー企業を選ぶ人材も、こういった要素に魅力を感じて応募しているケースが多いでしょう。
そのため、採用スライドを作成する際には以下の3点は必須であり、特に前半で組み込むことで、より効果的に作用します。
- ミッション(創業の理由・解決する社会課題)
- ビジョン(事業構想)
- 創業者・経営陣の紹介
ベンチャー企業はお金も人も足りないことがほとんどです。
そのため、何を目的として、自分たちはどうなっていきたくて、それをだれが牽引していくのか、を明確に伝えることが採用においての重要なポイントとなります。
会社の魅力をわかりやすく伝えること
重要な情報を資料に組み込んで語る以外にも、ベンチャー企業の魅力を伝えやすくする方法があります。
そのために、注意してほしいポイントは以下の3点です。
- 目次を作る
- 社員の顔やオフィスの雰囲気がわかる写真を入れる
- できるだけビジュアル化する
採用リソースも限られているベンチャー企業の場合、採用ピッチ資料はWEB上で公開して、いろんな人に見てもらうケースが多いと思います。
それはつまり、口頭説明がなくても、興味を持って読んでもらい、そして魅力を感じてもらう必要があるということです。
そのためにも、
- 目次 → 最初に説明したい内容の全体像を掴んでもらう
- 社員やオフィスの写真 → 視覚的に会社の雰囲気を知ってもらう
- ビジュアル化 → 言葉で説明しなくても、伝えたいことを理解してもらう
というように「資料を見るだけでも伝えたいことが伝わるか?」を意識して作成するようにしましょう。
イケてるスタートアップの採用ピッチ資料3選
ここまで採用ピッチ資料の作り方を説明してきましたが、ここからはお手本にしたい実例のケーススタディです。
イケてるスタートアップ3社の実例を交えて、採用スライドの作成時に活用できる部分をピックアップして紹介してきたいと思います。
株式会社SmartHRの採用ピッチ資料
採用ピッチ資料の一般公開を早期に行い、大きな採用効果も出している、採用ピッチの先駆者と言えるSmartHRの採用ピッチは、まさにお手本。
会社の概要・沿革・組織・事業内容・評価と報酬・カルチャー・課題などについて、どれもわかりやすく網羅的に記載されています。
特に前段部分の企業沿革パートでは、社員数の推移と共に会社の歩みがしっかり理解できるようになっているので、創業から数年経っているベンチャー企業はぜひ参考にしたいですね。
デザイン面では、
- SmartHRを想起できるカラーリング
- 社員やオフィスなどの写真の充実
- グラフや図解などのビジュアル
と言った面で、かなり見やすい資料になっていると言えるでしょう。
ecbo株式会社の採用ピッチ資料

※ecboはスライドシェアサービスに資料が無いので、資料は 公式サイト にてご確認ください。
荷物預かりサービスの「ecbo cloak」を運営するecboの採用ピッチ資料は、企業理念や事業内容がわかりやすく説明された資料になっています。
資料の始めの方でミッション・バリューを掲げ、その後にそれを牽引する経営陣→事業内容→ビジョン(目指すところ)、という流れの構成も参考になるでしょう。
デザイン面でも、
- しっかりトンマナが揃っていたり、
- 表紙に社員の集合写真を使っていたり、
- 企業沿革がタイムライン形式でわかりやすくまとめられていたり、
口頭での説明が無くても見やすい資料に仕上がっています。
LAPRAS株式会社の採用ピッチ資料
AI技術とデータベースを使った人材事業を展開しているLAPRASの採用ピッチ資料も、情報量とビジュアルのバランスが取れていて、わかりやすい資料になっています。
コンテンツ面では、経営陣だけではなく社員のプロフィールが充実している点が大きな特徴です。
どんな人と働くのかも転職の意思決定に置いて大きなウエイトを占めるベンチャー企業にとって、後半でしっかり4ページに亘って社員の紹介があるのは効果的だと考えられます。
また、レイアウトの綺麗さも去ることながら、ビジネスモデルがしっかり整理されている点も、資料のわかりやすさに寄与しています。
スタートアップではAIやデータベースなど、最新のテクノロジーを使った難しい事業を行っている企業も多いと思いますが、初見の人でもわかるようにシンプルでわかりやすい図解を心掛けましょう。
さいごに
しっかり作りこんだ採用ピッチ資料を活用することで、リソースの限られたベンチャー企業でも大きな採用効果を出すことができます。
魅力的な経営陣や明確なビジョンと言ったスタートアップならではの強みを活かして、自社の魅力を伝えられる採用ピッチ資料を作ることが重要です。
紹介した事例のようにコンテンツがしっかり整理され、且つ見やすくデザインされた採用ピッチ資料を作るのは大変ですが、しっかり取り組んで採用における武器を手に入れてくださいね。
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■ IVS Launch Pad
■ INDUSTRY CO-CREATION
■ B Dash Camp
■ Slush Aisa
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■ World Economic Forum
■ ECHELON
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