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【サンプル有】TAM・SAM・SOM?ベンチャー企業が戦う市場の定義方法

TAM・SAM・SOM

「この市場は世界で10兆円規模なので、1%を取るだけで1,000億円のビジネスになります!」と言った説明はベンチャー企業の事業プレゼンでよく聞かれるフレーズです。

たしかに大きなビジネスになりそうな感じはしますが、果たしてこれで市場を深く理解していることが投資家などの聞き手にしっかり伝わるでしょうか?

 

この記事では、Airbnbやfreeeと言ったメガベンチャーの事例などを交えながら、以下を解説していきます。

  • TAM・SAM・SOMとは
  • ベンチャー企業の市場定義事例
  • 市場規模のスライドサンプル

 

TAM・SAM・SOMとは

ビジネスでは大きな視点で市場を定義する際に、「TAM」「SAM」などの概念を使用します。複数のスケールを用いることで、事業が拡大可能な最大限のスケール感を把握しつつ、実際に現実的な売上規模も把握するために活用できます。

 

ちなみに読み方はそのままで、「タム」「サム」「ソム」と読みます。

「TAM(タム)」は比較的頻繁に使われるものの、何の文脈も無くいきなり「当社のソムは~」と話しても通じない可能性があります。SAMやSOMの話をしたい時は、市場規模の文脈の中で話すようにしましょう。

 

では早速、以下でそれぞれの意味と例をご紹介していきます。

 

TAM(対象となる市場全体)

TAMは「Total Available Market」の省略形で、「獲得できる可能性のある市場全体」のことを指します。例えばオンラインの国内ホテル予約サイトであれば、国内の宿泊予約の市場規模をTAMと定義することができるでしょう。

TAMが大きい方が事業の拡大余地があるということですが、大きければ大きいほど良いわけではないので注意が必要です。例えば、現地ツアーの予約サービスのTAMを旅行市場全体と定義しても、現実離れしていてあまり意味がありません。

また大きい市場は既に大手が参入しており、レッドオーシャンということも往々にしてあるので、そのあたりも考慮して市場を選定するようにしましょう。

 

SAM(実際にサービスを提供できる市場)

SAMは「Serviceable Addressable Market」のことで、実際にそのサービス/プロダクトがアプローチできる市場規模のことを指します。つまり、TAMの中でも、実際に自社の顧客になってくれる層の市場規模と言い換えることもできます。

例えば新卒人材採用市場をTAMと定義した場合でも、学部卒なのか修士/博士なのか、理系なのか文系なのか、などによって市場規模は異なります。

SAMでは、自社サービスの特徴やターゲットを鑑みて、実際にアプローチできる市場規模を定義するのがポイントです。

 

SOM(実際に獲得できる市場 or 獲得できている市場)

SOMは場合によって、大きく2パターンの意味で使われることがあります。

 

Serviceable & Obtainable Market(実際に獲得できる市場)

1つ目は「Serviceable & Obtainable Market」で、実際にアプローチして獲得できるであろう市場規模のことを指します。実際に獲得できる市場なので、その企業の売上目標と言い換えることもできます。

SAMはアプローチ可能な市場ですが、競合やその他の代替手段(ツールを使わない、Excelなどの別ツールで代用)などもあるため、実際に市場全てを獲得することは難しいです。そのため、更に現実的な市場規模を定義することで、実際のビジネスの規模を図ることができるのです。

 

Share of Market(自社が獲得できている市場)

2つ目は、「Share of Market」で、実際に自社が獲得できている市場、つまり売上高もしくはGMVのことを指します。PM(Penetrated Market)と言うこともあります。

実際に獲得している市場なので特にややこしいことはありませんが、これを出すことで、SAMの内、現在何%を獲得しているのか、あとX倍拡大するのは現実的なのか、などを検討することができるようになります。

 

「PAM」を考慮する場合もある

上記の3つと比べるとあまり見る機会はありませんが、「PAM」を使って市場規模を定義する場合もあります。

PAMは「Potential Available Market」のことで、潜在的に販売可能になるポテンシャルがある市場のことを指します。つまり、TAMよりもさらに広い潜在市場のことを言います。

1つの市場をターゲットにしたサービスがある程度成長すると、市場規模による限界が見えてくるため、既存事業を活かして更に他の領域に拡大していく場合などにPAMを見せることがあります。

 

企業の市場定義事例(スライドサンプル)

言葉の定義だけ見ても完全に理解するのは難しいかもしれませんので、ベンチャー企業の実例を見てTAM・SAM・SOMのイメージを掴みましょう。

 

Airbnbの市場規模

airbnb 市場規模

出典:SlideShare:Airbnb Pitch Deck From 2008

 

Airbnbは以下の通り市場を定義しています。

  • TAM(左) = 世界中の旅行予約の市場規模
  • SAM(中央) = オンラインの低予算旅行予約の市場規模
  • SOM(右) = 実際にAirbnbで予約された金額

 

Airbnbを利用する人は旅行先での宿を探している人なので、TAMは世界の旅行予約の市場規模になります。

ただ、この中には旅行代理店の店頭で高級ホテルなどを予約する人なども含まれるため、実際に自社がアプローチできるのはオンラインで低予算の旅行を予約する人と定義し、SAMをより細分化された市場に設定しています。

また、このAirbnbのケースにおけるSOMは、Share of Market、つまり自社が実際に獲得できている市場規模を示しています。

 

freeeの市場規模

国内のfreeeの事例はTAM・SAM・SOMと少し表現が違いますが、参考になるので見てみましょう。

 

freee 更なるTAM拡大の可能性

出典:フリー:成長可能性に関する説明資料

 

ここではTAMは会計フリー +人事労務フリーの潜在的市場規模の1.1兆円と示していますが、「更なるTAM拡大の可能性」として、2.5兆円の「国内中小企業のIT支出」と、30.4兆円の「国内中小企業バックオフィス市場」を挙げています。

これはTAMに加えて、更に大きなPAMを見せることで、事業成長のポテンシャルをアピールすることが目的と考えられます。初期に定義したTAMの中で既にある程度のシェアが取れている場合は、このような表現でPAMを示すのも検討すると良いでしょう。

 

さいごに

市場規模はスタートアップの成長ポテンシャルを図る上で重要な要素の一つです。

TAM・SAM・SOMの概念を使って、大きな市場規模と現実的な市場を合わせて見せることは対投資家へのピッチでもよく行われているので、事業計画を作成している起業家や経営者はしっかり覚えておきましょう。

 

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