東証マザーズに新規上場する企業は、更なる成長へのポテンシャルを説明する資料の開示が義務付けられています。
成長可能性に関する説明資料は、投資家に自社のポテンシャルをアピールして出資してもらうための資料なので、どこの企業も気合の入った資料を作っており、デザイン・内容の両面で勉強になる資料が多数あります。
2019年は東証マザーズに新規上場した企業が64社ありましたが、その中でも事業内容や成長戦略の説明が上手く、デザインも綺麗な資料を出している企業を10社選定しました。
各社コメント付きで紹介していますので、IR担当者や事業計画を作成しているベンチャー経営者の方は、ぜひ自社の参考にしてみてください。
目次
参考にしたい成長可能性に関する説明資料まとめ
スペースマーケット(SPACEMARKET)

1社目は、会議室や空き部屋をイベントやセミナー用のスペースとして貸し出す(借りる)ことのできる「場所のシェアリングエコノミープラットフォーム」を運営しているスペースマーケットです。
内容もデザインも良くできていますが、資料内で一貫してゲストとホストで色を使い分けており、わかりやすくデザインされている点が秀逸です。特にマッチング系のビジネスには参考になるでしょう。
こちらのnote「上場直後の決算説明資料のお手本」の記事では、デザイン観点で見るスペースマーケットの成長可能性に関する説明資料が詳しく説明されていますので、興味がある人は併せて読んでみてください。
- 会社名: (株)スペースマーケット
- 事業内容: スペースシェアリングプラットフォームの運営、他
- 上場日: 2019年12月20日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/c264dp/
BuySell Technologies(バイセルテクノロジーズ)

バイセルテクノロジーズは、出張買取&リユース事業を行っている会社です。
出張買取と聞くとアナログな業界というイメージが強い人も多いかもしれませんが、同社の成長可能性に関する説明資料では、内容とデザインの両面で「新しい感」や「テック感」を上手く醸成できています。
特にP28以降では人材戦略やデータ・テクノロジー活用などでの成長性がイメージしやすく描かれており、複数の成長戦略を持つ企業は参考にできると思います。
- 会社名: (株)BuySell Technologies
- 事業内容: ネット型リユース事業
- 上場日: 2019年12月18日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/c1znrm/
フリー(Freee)

3社目にご紹介するのは、2019年の目玉IPO、クラウド型会計ソフトのfreeeです。
既にある程度の知名度があり、且つこれまでの実績数値の説得力が高いため、定量的な実績と市場の大きさによる成長可能性をしっかりアピールする資料になっています。
- 会社名: フリー(株)
- 事業内容: クラウド型バックオフィス支援ソフトの開発、運営
- 上場日: 2019年12月17日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/c1znze/
メドレー(MEDLEY)

メドレーは医療ヘルスケア領域において複数のプラットフォーム事業を運営する会社です。
デザイン面では、文字の大きさにしっかり差をつけて、文字数が多くても読んでほしいポイントがしっかりわかるようになっている点が良いですね。
中身としては3つある主要事業を計18ページに亘ってしっかり説明しており、主力商材が複数ある企業は参考にできるのではないでしょうか。
- 会社名: (株)メドレー
- 事業内容: 人材プラットフォーム事業、医療プラットフォーム事業
- 上場日: 2019年12月12日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20191212436211/
インティメート・マージャー(Intimate Merger)

次はDMP(データマネジメントプラットフォーム)を活用した事業を行っているインティメート・マージャーの成長可能性に関する説明資料です。
DMPという一般の人には馴染みの薄い事業内容のため、DMPのことや、提供ソリューションの詳細を、図解とテキストを使い分けながら表現している点に注目です。
成長戦略(P28~)のセクションでは既存事業を活かして他の巨大市場に進出していくということを上手く表現しています。ただ単に大きな絵を描くだけだと具体性に欠けるため、しっかり事例も入れることで納得感を高めるようにしている点も参考にできるでしょう。
- 会社名: (株)インティメート・マージャー
- 事業内容:
- 上場日: 2019年10月24日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/byglvm/
サイバー・バズ(CyberBuzz)

サイバー・バズはインフルエンサーマーケティング関連の事業が中心の会社です。
インフルエンサーマーケティングは広告業界全体の中で見るとまだ市場規模が小さいですが、成長している市場のため、市場ポテンシャルを最初の方でしっかり説明している点が特徴です。
市場の成長をしっかりアピールしたい場合には参考になるのではないでしょうか。
- 会社名:(株)サイバー・バズ
- 事業内容:インフルエンサーマーケティング、他
- 上場日: 2019年9月19日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/bwb64h/
ツクルバ(tsukuruba)

次は、ITを活用した中古住宅流通プラットフォームcowcamoを運営するツクルバです。
ツクルバの成長可能性に関する説明資料はPowerPointの基本的な図形だけを使って作成されているページが多いので、余白やレイアウトなどのデザイン面で参考にしたいですね。
また、全体的にフォントが小さめのスタイリッシュなデザインですが、カラーやフォントサイズの使い分けが上手く、必要な情報が読み取りやすい資料になっています。
- 会社名: (株)ツクルバ
- 事業内容:ITを活用したリノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」事業、他
- 上場日: 2019年7月31日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/btogm5/
Sansan(サンサン)

こちらも2019年の大型上場銘柄、名刺管理アプリを運営するSansanです。
「カンパニー・ハイライト」(P9)という形で、目次/兼主要トピックを5つ列挙して説明しており、シンプルでわかりやすい資料構成になっています。
このカンパニー・ハイライトが中扉にも、更にP33のまとめにも使われており、最もアピールしたいポイントを繰り返すことで読み手に上手く刷り込むことができる資料になっています。
また、Sansanの成長可能性に関する説明資料は全66ページと、他社と比較してページ数が多いですが、実はその約5割は補足資料です。特に伝えたいポイント(≒カンパニー・ハイライトの5点)だけを本編に入れて、細かいサービスの使用やP/Lなどを補足資料に入れる方法は上場/未上場問わず真似できるので、参考にしたいですね。
- 会社名: Sansan(株)
- 事業内容:クラウド名刺管理サービスの企画・開発・販売
- 上場日: 2019年6月19日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/br84ir/
ハウテレビジョン(HowTelevision)

「外資就活ドットコム」や「Liiga」などの人材サービスを展開するハウテレビジョンの成長可能性に関する説明資料です。
資料の前半で「ユーザーストック型のキャリアプラットフォーム」であるという点をアピールしており、プラットフォームを跨いで自社サービスのユーザーが積み上がっていくことを表現しています。(P10、P11参照)
ストック型の収益構造がわかりやすいSaaS等と異なるビジネスモデルにおいて、収益の安定的な拡大を表現したい際に参考になるでしょう。
- 会社名: (株)ハウテレビジョン
- 事業内容:キャリアプラットフォーム事業
- 上場日: 2019年4月24日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/bnx85g/
スマレジ

最後は、クラウド型POSレジシステムを提供するスマレジの成長可能性に関する説明資料です。
内容としてはスマレジの1本押しで、デザインもシンプルですが、読みやすくまとまった資料です。大部分のページがタイトル+見出し2~3行の説明、という構成になっており、口頭の説明が無くてもそのページで言いたいことが読み取りやすくなっています。
- 会社名: (株)スマレジ
- 事業内容:スマレジ事業、クラウド型業務システムの提供
- 上場日: 2019年2月28日
- 資料URL: https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/bkmrz8/
さいごに
成長可能性に関する説明資料はある程度まとまった金額を投資家から調達するIPOに向けた資料なので、中身だけではなく、デザインにもこだわった資料を作成している企業が多いことがわかりますね。
IPOに関わる人やIR担当者は勿論、その他ビジネスパーソンにとっても参考になる魅せ方が豊富に含まれているので、ぜひ参考にしてみてください。
また、KUROKOでは上場企業のIR資料だけではなく、マザーズIPO時の成長可能性に関する説明資料や、ベンチャー企業の投資家向け事業計画説明資料の制作サポートを行っています。
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